令和5年6月 夕凪グループ勉強会

令和5年6月夕凪グループ勉強会
「腰痛予防について」

令和5年6月16日(金) 
講師:香川大学医学部臨床教授
中村 隆一郎 先生

 

 今回の勉強会では、香川大学臨床教授である中村隆一郎先生を招き、腰痛予防対策についてご講演いただいた。腰痛は日頃介護に携わる上で切り離せない問題となっている。利用者様に気を配り、気づきを得るように、日頃から自分の身体にも気を配り、ケアしていくことでより良い介助を行う事が出来る。

1.「ボディメカニクス」について
腰痛予防の為、無理なく最小限の力で介助を行うために重要となるのが「ボディメカニクス」であり、以下の8つの原理に基づいた技術である。
①支持基底面を広くとる。
   足を閉じて立つよりも、肩幅程度に足を開いて立っている方が安定する。
②重心を低く保つ。
   重心を低く保つことで身体が安定し、倒れにくくなる。
③介助者・被介助者の重心を近づける。
   重心が近づくことで、力が伝わりやすくなり、最小限の力で介助を行える。
④身体全体を使い、太もも等の大きな筋肉を使う。
   身体全体の大きな筋肉を使うことで、1つの筋肉にかかる負担が減る。
⑤膝の屈伸を利用して水平移動を心掛ける。
   水平移動を行う事で上下の移動が少なくなり、重力の影響を少なくできる。また、背骨は小さな骨の集まりであるため関節への負担がかかってしまうが、太ももは大きな一本の骨であるため、負荷が少ない。
⑥移動する方向へ足先を向けておく。
   あらかじめ足先を移動方向へ向けておくことで、腰をひねる動作をなくし、腰への負担を減らす。
⑦被介助者とベッド等との接地面積を小さくする。
   摩擦による抵抗を少なくし、被介助者の動きを出しやすくする。ポイントは被介助者を不安定にすること。
⑧テコの原理を利用する。
   支点・力点・作用点を意識して介助を行う。ベッドからの起き上がりなどでは、腰を支点、肩~頭部を力点、足を作用点とする事で起き上がりやすくなる。

2.立ちあがりのボディメカニクス。~重心移動を意識して~
   支持基底面内に重心が収まっていると、バランスが取れている状態となる。被介助者が安定した姿勢では立ち上がりは行いにくく、介助者の負担が大きくなってしまう。
   ここでポイントとなるのが、「介助者が安定している事」に加えて「被介助者を不安定な状態にする事」である。
   立ち上がり介助を行う際は、被介助者の足を内側にひいて支持基底面を重心に近づけ、姿勢を前方に崩すことで被介助者の動きを出すことがポイントとなる。

3.自宅で行える腰痛予防・対策
①腰の下に丸めたタオルを置き、仰向けで寝ることで腰を伸ばすことができ、背筋を整えられる。
②「気をつけ」の状態から片脚を下げ、その反対側の手を斜め上前方へ伸ばす。その指先を見ることが腰部のストレッチ・トレーニングとなる。

上記のように要点を押さえ、適切な介助を行う事で腰痛を予防できることが分かった。自分の身体のケアを適切に行う事で、安定したサービスを継続的に提供することへ繋がると感じた。
 今後もより良いサービスを提供するため、まずは自分の身体を大事にし、より安定した技術を提供していきたい。

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