令和5年12月 夕凪グループ勉強会

「企業倫理について」

令和5年12月15日 勉強会
社会保険労務士山田哲夫事務所
社会保険労務士/介護支援専門員 山田 哲夫

 はじめに、企業倫理とは「企業活動をしていく上で重要な守るべき基準(コンプライアンス)」のことを意味する。社会的ルールとして認識されており、企業はそれを遵守しなければならない。それを違反した場合、その企業は行政処分を受けることになり、最悪の場合、倒産に至る恐れがある。

最近、コンプライアンス違反に関するニュースをよく見聞きする。その中でも多いのが、パワハラや長時間労働といった労働問題である。この問題は組織内で常態化・慢性化することが多い。特に長時間労働に関して言うと、運送業者や医師、教師といった職種の人たちが悩まされている。この問題を是正しようと、来年度から働き方改革関連法が施行され、時間外労働に制限がかけられるなど、労働環境を良くしようという動きがある。その反面、企業が収入減に陥り、結果的に職員の給料が減ってしまうという深刻な課題(2024年問題)も残されている。

次に、社会福祉施設において気を付けなければならないコンプライアンス違反に当たる場面について、いくつか述べておきたい。

先ず多いのが、個人情報の流出である。例えば、業務中に個人記録やカルテを誰でも閲覧できる場所にたまたま置いたままにしてしまい、それを他のご利用者様が見てしまった…。また、ご利用者様の施設での活動の様子を外部に発信しようと思い、写真に撮ってSNSやパンフレットに掲載したが、ご家族様からの同意を得ていないご利用者様がたまたま写り込んでいた…。これらは両方とも違反行為である。過去にはそれが発覚し、ご利用者様やご家族様とトラブルになった事例がある。

こういった「たまたま」から起こしてしまう意図的ではない違反行為は、日々の心がけで防ぐことができる。個人情報に関する書類は、外部に持ち出さず関係者以外は閲覧ができない所定の場所に戻す、契約時にご家族様から写真掲載の許可を得た上で同意書をもらう…。そういった心がけで回避することができる。また、万が一に流出してしまった場合は、そのことが分かった時点ですぐにご本人様とご家族様に事実を説明し、謝罪、その後も経過報告し、再発防止と信頼回復に努めなければならない。

その他、業務に関するデータを収めたUSBの紛失やコンピュータウイルスによるデータ流出といった機密情報の流出、人員基準を満たしていないのに介護報酬加算をとる不正受給の問題、書類の権利者でない者による代筆・日付けの書き換えといった偽造問題、業務以外の目的でコピーをしようと無断でプリンタを使う私的流用問題、クレームの個人判断による対応やご利用者様からの正当な理由のない金品の収受といった顧客対応問題など、多くの問題が挙げられる。

今回のようなコンプライアンスにおける勉強会は、正しい知識を再認識するためにも定期的に開催される必要がある。事実、上記のような場面は、日常業務の中で数多く存在し、気を付けていなければ自分自身も違反行為を犯し兼ねない。

今回学んだ内容を忘れず、間違えた対応を取ることのないよう、業務に当たるようにして行きたい。

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