令和4年10月 夕凪グループ勉強会

令和4年10月夕凪グループ勉強会
「口腔状態と栄養・身体の関わりに関して」

令和4年10月21日(金)
講師:歯科衛生士 木戸 緑先生

令和4年10月の勉強会では、主に①オーラルフレイル、②摂食嚥下障害、③口腔体操、④正しい歯磨きの仕方について、講演と実演、実技を交えて学んだ。

1.オーラルフレイルとは
口腔(オーラル)虚弱(フレイル)を表す言葉で、主に口まわりの筋力が衰えることにより、滑舌や食の機能が低下することである。元々は、日本老年医学会が加齢による心身の虚弱を“フレイル”という言葉で表現したことに始まる。現在では日本歯科医師会が中心となり、特に口まわりの健康を保つための概念として“オーラルフレイル”を提唱し、その予防と対策を推進している。また、オーラルフレイルには「身体的」「社会・心理的」「栄養口腔」の3つが原因と考えられている。

・身体的フレイル
体重減少、疲れやすさ、活動量の低下、歩行速度の低下、筋力の低下などが挙げられ、日常生活に支障をきたす状態のこと。「サルコペニア」とも呼ばれる

・社会・心理的フレイル
定年退職した後、趣味がない、友人がいないなどの理由でひきこもりがちになり、一人で過ごす時間が増え、気持ちが落ち込み、鬱になってしまう状態のこと。

・栄養・口腔のフレイル
加齢により歯の状態が悪くなり、柔らかいものしか食べれなくなった状態。結果的に少しの衝撃だけでも骨が折れやすくなる、足が上がらないことから転倒リスクが増えてしまうといった状態になる。

2.摂食嚥下障害とは
歯の欠損・入れ歯の不具合、舌の運動機能低下・咀嚼機能低下、唾液分泌の低下(口腔乾燥)、口腔感覚の鈍化、咽頭(喉仏)の位置の低下などが挙げられる。摂食嚥下障害になると、食事でむせる→食べられるものが減る→食事量の減少→栄養不足→体重減少→免疫機能の低下→誤嚥性肺炎などの病気に罹りやすくなるといった悪循環に陥る。

3.口腔体操のすすめ
・パタカラ体操
「パ・タ・カ・ラ」をできるだけ早く発音することで、上下の唇と舌が動き、口まわりの筋肉強化につながり、舌の筋機低下が予防される。

・あいうべ体操
口を大きく「あーいーうーべー」と動かす。できるだけ大げさに、1回4秒前後のゆったりとした動作で行う。1日30回を目標に行う。

・吹き戻し
おもちゃの「ぴろぴろ」によく似た「長息生活」というグッズを用いる。0~MAXまで負荷が4段階あり、呼吸・発声・嚥下機能のトレーニングに繋がる

4.正しい歯磨きについて
初めに、歯磨き粉を付けていない状態で歯を磨き、歯の表面ついている汚れを落とす。次に、うがいを上唇、下唇、右頬、左頬でそれぞれ10回ずつ行う。そうすることで口腔内の汚れを除くことができる。そして、もう一度歯を磨く。この時、歯磨き粉を小豆(1㎝)ほどの大きさ分使い、一本ずつ丁寧に歯を磨く。気を付けなければならないのが、磨き残しである。特に歯ブラシを持つ側の第2~4歯あたりは磨き残しが多いので、注意して磨く必要がある。最後に歯間ブラシやデンタルフロスを使い、歯と歯の間に残った食べかすやプラーク(歯垢)を取り除いた後、うがいをする。
正しく歯が磨けていないと歯周病に罹るリスクが高まってしまう。歯周病になると歯周病菌が歯茎の奥の血管に侵入して全身に広がり、アルツハイマー型認知症や糖尿病、動脈硬化などに罹るリスクを高めてしまう。そのため、正しい歯磨きができるかどうかは、その人が「健康に長生きできるか」に直結している。

所感
普段から食事前に行っている「パタカラ体操」や「あいうべ体操」は、口を大きく開け、舌をゆっくり大きく動かすと、より効果的になるということが分かった。特に「あいうべ体操」は1日に30回することで唾液の分泌量がさらに増え、嚥下がより円滑になるということも分かった。講義の翌日、実際に現場で実施してみたが、正しくできていなかったり、10回すると疲れてしまうご利用者様が多くいた。今後は毎食前10回ずつ行うことで、1日30回が達成できるように促していきたい。また、歯磨きについても間違った歯磨きをしている方が多くいた。今回学んだ正しい歯磨きをしてもらえるよう、そちらも促していきたい。

 

夕凪グループ一覧

PAGE TOP